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ガンガール
「……ちぃッ!ここまで話が出来ないものか!」
「それはお互い様……です!」
と、その時ヤンカム王が不自然に床を踏みつけた。
ただの地団駄……何も知らねばそう考えるかも知れない。
しかし、それが合図なのだと確信があった。
「『エアスト・フィールド』!」
クリシュナを庇うように前へ出ると同時に、衝撃がフィールドを貫く。
「っ……はっ!」
私はそれを左手で食い止め、力任せに床に跳ね除けた。
破裂音と同時に床がひび割れた。
「!?」
「なっ……えっ……」
状況を掴めていない二人に構わず、すぐに射線から割り出した敵の位置に手を向けた。
「『気功波』っ!」
「っ」
奥歯を噛み締める気配。
私の狙いは正確で、不可視の布を捉え、吹き飛ばした。
そして、吹き飛ばした布の裏にはメイドが、その自身の身長以上に長い銃を構えていた。
悔しそうに奥歯を噛む顔に見覚えがあった。
「あれは……」
「……ヒッチコック!?ま、まさか、僕狙って撃ったというのか?!」




