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口撃
「!?」
表情が全てを物語っていた。
仮に、この時、ポーカーフェイスで対応されたら、
何とでも理由をつけて言い逃れることも可能だっただろう。
しかし、ヤンカム王はその表情を見せてしまった。
状況証拠としては充分だった。
これが法廷ならば、それだけで有罪とはならないだろう。
しかし、この場でクリシュナを納得させるにはそれだけで充分だった。
「……父上、あなたは……!」
「……信じるというのか、この女の言うことを……クリシュナ」
「……ええ、信じますよ」
「……チィッ!」
「!」
「ふん、そうか!だが、それがどうしたと言うのだっ!
奴隷に選ばれる人間など、下級の国民に過ぎん!
そんな奴らをどう使おうと構わんではないか!」
「父上!?……そんな選民思想を恥ずかしげもなく、叫ぶのか」
「理解出来んのか、クリシュナ?
キサマとて選ばれた人間ではないか」
「……人の命は平等であるべきだ」
「……ハンッ!キサマこそ、そんな綺麗事を恥ずかしげもなく叫ぶか!」




