失言
「そう、既に起こってしまってるんだ」
「ち……父上、本当ですか?」
「……キサマはこの国の王で、キサマの父親である朕よりも、こんなどこの馬の骨とも知らない女の言うことを信じるのか?」
「……」
あくまでシラを切るか、確かに証拠は……いや、待てよ?
「……ならば」
「む?」
「その胸にある『バッチ』はなんだ?」
「?!……何を言っておる?朕はバッチなど着けては……」
確か、形は……
「父上、そのバッチは……?」
その時、確かにヤンカム王の胸元にバッチがあった。
「なっ?!何だと!?何故こんなモノがっ!!
ち、違う!朕が持っていたのではないっっ!」
「……ああ、そうだろう。
アンタはあくまで主導しただけで、"直接の会員"にはなっていない。
トカゲの尻尾切りが出来る部下にやらせてるだろう」
と、そこで即席でヤンカム王の胸元に氷魔法で作って見せたバッチを指で弾くと同時に破裂させた。
「魔法……?はは、見たか、クリシュナ!コイツは朕をハメようとこんな小細工をーー」
「しかし、ヤンカム王。
どうして、今真似て作ったバッチが、"人身売買の仲介組織の会員バッチ"だと、"知っている"んですか?」




