そうなる――はず、だった
「はぁっ!」
「!!」
少女はついに、私の攻め手に屈し、唯一の武器である剣が手から離れ、地面に転がった。
「終わりです!」
私は槍を振り上げ、叩きつけるように振り下ろした。
この叩きつけで、少女は地に伏し、殺さずとも戦闘不能になる――
――――――はず、だった。
しかし、セーラー服の少女後退しながら、左手を上げた。
「!?」
左手を盾に――犠牲にして私の一撃を受け止めるという行為だ。
生身で刀身と受け止めるという無謀。
失敗すれば、命を危険にさらし、
成功しても、左手を今後失いかねない、一度きりの防御。
そんなことは、私自身望んでいない。
しかし、振り下ろした勢いを止めることは出来ず、このままでは凄惨な光景が眼前に広がる――
――――――はず、だった。
しかし、少女はこともなさげに、左手で受け止めて見せた。
刀身を、そのまま受け止め、少女の左手は裂かれも、潰れもせず、ただありのままにあった。
「――え?」
驚きは私のもの。
当然だ。
少女はこの結果が見えていたから、この選択を取ったのだ。
だけど、わからない。
どんなに鍛えたとしても生身で刀身を受け止めることは不可能だ。
ましてや、剣を扱えると言えど、少女の華奢な細腕では尚更だ。
だが、それは私でも同じことだ。
ただ、気功や魔法を圧縮し防御に回せば防ぐこと自体は可能だ。
しかし、目の前の少女にはそのような痕跡はなく――
当然、防具の類いもなく生身の左手で受け止めていた。
そんなことは、人間なら不可能だ。
そう、目の前の人物は少女、人間である――
――――――はず、だった。
「最大出力――展開」
少女の左手が――否、顔も足も――左半身に赤いラインが浮き上がっていく――
そして、左目は充血しきり、真っ赤になったかと思うと瞳は金色の色彩を放っていた。
これは、私の知らない強化魔法である――
――――――はず、であって欲しかった。
さもなくば――
さもなくば――
私が戦っているのは何だ?




