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揺さぶり
「……!」
クリシュナは奥歯を噛んだ。
これ以上、彼がヒートアップしたところで意味はない。
私は口を挟むことにした。
「ヤンカム王、貴方は"彼"がノイル王子だと知っていたのですね?」
「なんだ、キサマは?今のやり取りを聞いていなかったのか?」
「聞いてましたよ……つまり、ヤンカム王が何を言おうが、クリシュナ王子の真実は揺るがないということを」
「!」
「なっ……何を言う!そんな道理が通るかっ!!」
「そう言ったのはヤンカム王、貴方では?」
「黙れ!履き違えるなっ!!
朕はクリシュナが何を考えようと、朕の決定こそ絶対だと言っておるのだ!」
これでは平行線だ。
平行線、だから、揺さぶって失言を引き出したいところだ。
「あはははっ」
「何がおかしいっ!」
「面白い冗談ですね、本当にご自身こそが絶対だというのならーーこうやって、"クリシュナ王子やノイル王子を脅威に感じて、殺そうなんて考えないでしょう"に」
「……!!」
「き、キサマは何を言うておるっっ!!」




