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王の横暴
「っ……これが落ち着けるものかよ……!」
「その気持ちは理解しますが、冷静になって下さい……ヤンカム王はノイル王子を殺そうとしていたんです」
「……!」
ヤンカムは鼻を鳴らすとため息を吐いた。
「何を言う……まさか、ノイルだとは思っていなかっただけだ」
「……」
「……」
沈黙が、白々しさを強調していた。
「……本気で仰ってるのですか、陛下……いえ、父上」
「……クリシュナ」
「国王陛下としてではなく、父として聞いています」
「ほう、そうか。それで、なんと言えば信じるのだ?」
「!?」
「キサマは朕が何を言おうが、キサマが信じたいようにしか信じないのではないか?」
「っ……!そうかよっ!なら、アンタは、ノイルを殺そうとしたんだなっ!」
「それはキサマの中の真実であろう」
「それで、煙にまこうとするなっ!」
激昂するクリシュナを見て、ヤンカム王はやれやれとまたため息を吐いた。
「キサマが何を宣おうと、朕より優先されることはない。
王たるは朕なのだから」




