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貴方の目で
私は将軍の兜に手をかけた。
「!!ミシオン、その無礼者を斬れ!」
「う……は、はっ!」
切り掛かってきた剣を私は左手の人差し指と中指で挟んで止めた。
「!?」
「余程、見られたら困るようですね」
「き、キサマ……」
私は右手で兜を、ひっぺ返そうとして、思い止まった。
「クリシュナ王子、貴方の手で兜を外してみて下さい」
「え……」
「貴方の手で、ヤンカム王が何を隠そうとしたのかを暴いて下さい」
「黙れ!朕は隠してなどいない!朕の決定を覆そうとする無礼を許してはおけんのだ!」
「……兜を外して……同じことが言えますか?」
「なにぃっ……!!」
私はため息を吐いて、クリシュナを急かした。
「王子、兜を外して下さい」
「やめろ、クリシュナ!朕の言葉が聞けぬか!」
「……」
クリシュナは迷っているようだった。
「そこに真実があります。それでも父親の言葉に従いますか?」
「!!」
「何を宣っている!!クリシュナ、よせ!やめろ!」
「……」
クリシュナは将軍の兜を掴んだ。




