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容易い引き金
「そんなの……あの鎧をひっぺ返して、口を割らせれば……!」
「……らしくないですね。そんなやり方スマートじゃない」
「!」
クリシュナはショックを受けたようだった。
構わず、私は王達のやりとりを指さす。
「大丈夫ですよ、猶予はありますよ、まだね」
ーー
「宣ったな、下郎がっ!」
ヤンカム王の拳銃を構える指に力が入る。
「ふん、フルメイル相手にそんな豆鉄砲にどれだけの効果があると思っている?
それとも、余程腕に自信があるのか?」
兜に隠れた顔でもわかるくらいに将軍は王に対して嘲笑を浮かべた。
それが、王の堪忍袋の緒を断ち切った。
「舐めるなぁッ!」
ヤンカム王は引き金を引いていた。
その狙いは正確だった、将軍の額に向けて弾丸は発射され、
兜に当たり、ガンと言う音がした。
弾丸は弾かれ、天井に跳弾し、床に刺さった。
防具があるとは言え、衝撃は相当なもののはずだ。
頭部に被弾したのだから、気を失ったとしてもおかしくはない、だが……
「……引き金を引いてしまったな」




