認識の欠如と革新
「ーークリス!」
「っ!」
クリシュナの声で正気を取り戻した。
すぐ近くにまた別の兵士が迫るーー!
「このっ!」
「はぁっ!」
互いの剣が交差するーーより先に、私の剣が届いていた。
「かはっ!」
衝撃で兵士は意識を刈り取られ、そのままズルッと倒れた。
「……何をやってるんだ、私は」
戦いの場で他のことに意識を逸らすなんて。
「……たるんでる」
ネジを締め直そう。
そして、いっそ、この辺りにいる敵の兵士だけを一掃してしまおう。
幸いにも、今直接私を狙っている兵士はいない。
「ーー集中」
意識のフィールドを認識を拡大する。
戦いあっている、兵士と王宮騎士。
その兵士だけにフォーカスし……ロック。
この乱戦の中だからこそ、出来る方法もある。
「『隼剣・彗星連撃』っ!」
乱戦の中、騎士と戦う兵士への奇襲。
背後から一閃。
兵士が崩れ落ちるが、剣が砕ける。
流れの中で、兵士の剣を拾い上げ、すぐに次の兵士へと斬りかかる。
不意打ちの連鎖攻撃。
卑怯に映るかも知れないが、これはスポーツでもなく、今ここは戦場なのだ。
奇襲を喰らって騒ぎ立てる者などいない。
しめて16人。
この辺りで戦っていた兵士を全て倒していた。




