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立場
まぁ、いい。
戦う方法はいくらでもある。
私は砕けた剣の柄を手放すと、
胸の前で両手を握り、気功をこめて、左右に両手を開いた。
「『気功波』っ!」
「うわっ!」
「つぁっ!」
残りの二人へ放った気功はそれぞれ右肩と左の下腹部に着弾し、二人を吹っ飛ばした。
衝撃で二人共気を失ったようだった。
「……」
新たな剣を手に入れようと、すぐ近くに倒れていた腕に一閃した兵士を見下ろす。
意識はある。
何が起こったのか理解出来ないままに私を睨むような視線を送っていた。
「その腕で戦おうとしても、無駄死にをするだけです。
そのまま大人しくしていてください」
兵士のそばで転がっている剣を拾いあげる。
その時、吐き捨てるように兵士は問いかけてきた。
「お前は何者なんだ……?」
「……」
存外に心が揺れた。
よく考えてみれば、それに対する答えらしい答えを持たない。
クリシュナに護衛を頼まれた者……形式としてはそれが最も正しいのだけど、それほ私の答えではない。
私はただ、"あの時"を"また繰り返そうとしている"だけでーー




