957/1085
計算と誤算
「……」
兵士達がそれぞれ目配せをする。
何をしてくるか、予想はついていた。
「「「はぁっ!」」」
三方からの同時攻撃。
これが力量差が無いか、向かうが上ならば、
脅威なのだけど、残念ながら私と彼らの差では三対一でも埋まらない。
ほぼ、同時に切り掛かったのはいい判断だ。
だけど、それを活かせる程のスピードは、私と相対するには足りなかった。
「『隼剣』っ!」
正面から切り掛かってくる兵士の両腕に一閃。
「うぎゃああっ!」
筋肉が断絶し、手から剣が滑り落ちる。
難しかったのは加減。
彼の両手を落としてしまうのは忍びない。
そういう意味ではフルメイルが相手で良かった。
鎧が腕を防護して肉だけにダメージを与えることが出来た。
これで、ほとんど後遺症もなく戦闘不能に出来ただろう。
ただ、誤算だったのは、その一閃だけで奪った剣が砕けてしまったことだ。
鎧を直に叩いたからか、あるいは私の力に耐えきれなかったか……どちらにしろ私自身の頑丈な剣と同じように使ってしまっていた。




