獣の街
店主から、地図を受け取り、外に出た時には陽はもう傾いていた。
急がなければ、傭兵の人と合流することが出来ない。
そして、その予想は的中する――
十数件の宿を回ったところで、空から”狼”達が降ってきた。
「っ!」
こうなれば、宿を回ったところで中には入れてもらえないだろう。
話の通り、傭兵の人が到着しているのなら、すでに活動開始しているはずだ。
それなら、私もこの”狼”を迎え撃っていけば、いずれ合流出来るだろう。
そう思い、剣を抜いた。
しかし、”狼”達は私に見向きもせず、一方向へと突き進んでいった。
「!?――このぉっ!」
一番近くにいた”狼”を斬り伏せた。
僅かな感触を残し、一匹の”狼”は霧のように消えていった。
しかし、他の”狼”達は気にせずに同じ方向へと走っていく――
「これは……」
私はシンシアさんから貰った飴を口に含み、いったん落ち着いて、考えることにした。
”狼”達は仲間がやられた事を気にも留めない。
厳密には、本物の狼ではないため、仲間というには語弊があるけど、
つまり、これは、この”狼”達は無差別ではなく、目的意識を持って行動しているということだ。
光に引き寄せられるという習性を考えれば、
魔法などで注意を引きつけ、一網打尽にすることも出来るかも知れない。
しかし――
「『隼剣』!」
また、一匹”狼”を葬った。
しかし、次の瞬間には、空から新たな”狼”が降ってきた。
「……」
思わず、歯を食いしばった。
これなら、仮に全ての”狼”を消したところで意味ないかも知れない。
だったら、まずは”狼”の目的を探ってみるべきか――
私は”狼”達が向かう方向へ走り出した。




