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隣席
「……用が済んだのであれば戻りましょう。名残り惜しい気持ちもわかりますが」
「いや……そうだな、戻ろう」
真に彼らのことを思うのであれば、やるべきことはここに留まることではない。
クリシュナは最後にミックの頭をもう一度撫でるとラクダを引いて、王宮へと戻った。
帰りは私も車に乗った。
クリシュナの隣にすわり話しかける。
「それで……武器は用意出来たんですか?」
「ドレスの下のナイフのことなら、手配は済んでるよ。
多分、戻れば持ってきてくれるんじゃないかな?」
「そうですか」
改めてだけど、ナイフの扱いは不安だ。
こんなことなら、ショウ兄さんに教わっていたらよかったけど……それでも、ないよりはマシだろう。
「……」
と、クリシュナの視線が戸惑っていることに気がついた。
「どうしたんですか?」
「あ、いや……随分と僕に心を許してくれるな、と思って」
「ああ……単に貴方が言ってる言葉の意味を理解しただけですよ」
……逆に貴方は理解することはないのだけど。




