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出陣を控えて
店主に地図に記しを示して貰ってる間に、私は身支度を部屋で済ませた。
と言っても、剣は元々、持っていたし、夜に冷えないよう外套を羽織っただけだったが。
「二人はここにいて下さい。今日は帰らないと思って下さい」
「私達がついていっても足手まといになる事はわかってますわ」
「クリスさんに限ってないとは思いますが、
もし何かあれば、戻ってきて下さいね。わたしの”神仙術”が役に立つかも知れません」
「わかった。と言っても出来る限り頼らないつもりでいるけど」
「夜を明かすのであれば、これを持っていって下さい」
そう言って、シンシアさんは小さな包みをいくつか渡してきた。
「これは?」
「ハッカの飴です。眠気覚ましにお使い下さい。
こんなモノしか渡せないのは心苦しいですが……」
「いえ、ありがとうございます。助かります」
多少、不眠不休で活動出来ると言っても眠気がない訳ではない。
そういう意味では確かに有り難かった。
「ご武運を」
「頑張って下さい」
「はい!……行ってきます」
私は飛び出すように部屋を出た。




