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100点満点を求めてはいけない
「うーん、そうですか」
何か引っかかる。
覚えておいた方がいいかも知れない。
彼女が裏切り者だとか、そういう単純なことでもないとは思うけど。
――――
朝食を済ましたところで、私の服が用意された。
部屋で着替えてみて気付いた。
上は女性もののドレスシャツだったが、下は男性もののスーツパンツだ。
まぁ、男性もの云々はこの際どうでもいい。
しかし、スーツパンツなんてものは、激しい運動を想定していない。
戦闘になれば、破れてしまうのは目に見えている……
「……」
どうしたものかと、頭を抱えた。
そして、出した結論はこうだ。
「まぁ……仕方ない。スカートよりはマシだね」
蹴りなどの足を大きく動かすようなことを避ければ、そうそうは破れないだろう。
そもそも、用意されるもので、これ以上のものがあるとも限らない。
砂漠の真ん中にあるような国だ。
それまでとは、服が違う。
クリシュナも、一枚の布で作ったような服を着ている。
その中で、このパンツを用意してくれたのは喜ばしいことだ。
そう思うことにした。




