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微睡みの先
――――
部屋に響くノックの音で目が覚めた。
「クリスさま、朝でございます」
「う……ん……」
しまった。
ふかふかのベッドで、ついつい熟睡してしまった。
曲がりなりにも、護衛である以上、最低限の警戒はしておくべきだと思ったのだけど……
「……失礼してよろしいでしょうか?」
「あ、はい」
いや、でも、何かがあったのなら、こんなのんびり起こしには来ないだろう。
充分に休息はとれたのだから、ここから切り替えよう。
「どうぞ、クリスさま」
私はメイドから水桶を受け取り、顔を洗った。
周りに飛び散らないよう、気を遣いつつも、
ごしごしと豪快に洗うとタオルに包まれながら気合いを入れた。
「……よし!」
と、タオルを離すと、メイドが驚いた表情で私を見ていた。
またまた、しまった。
人前でやるようなことではなかった。
「あ、はは……ごめんなさい、不作法なもので」
「いえ、大丈夫ですよ、少し驚いただけで……」
驚く、ということはそれだけ不作法だと思うのだけど。
「あ、いえ、クリシュナさまも時々そうやって気合いを入れられるのです」




