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ラインマーカー
「先入観……」
「そう、だな……シロかクロか、物事はそう単純でないのかも知れない」
「え、そういう話なんですか?」
「仮にノイルは黒幕でないとしても、王家を継ぎたいのなら、
第一王子である僕の死は、第二王子のノイルには望ましい。
なら、静観をしていたとしても、いざそのチャンスが来たと思えば、そこに飛びつくかもしれない」
「なら、その時はシロがクロに変わる、と?」
「そう、可能性としては十分あり得る」
「……」
「考えかたを変えねばならない。
僕はシロかクロかを、暗殺の黒幕とそれ以外で考えてしまっていた。
だけど、潜在的なクロがいるとするなら……全てを敵ではないかと疑うことも必要だ」
随分と悲壮なことを言う。
だけど、とてもそれを否定する気にはならなかった。
そして、”全て”か……
「その全てをどこでラインを区切ってますか?」
「……!」
「その前提で言うのなら、貴方が信頼する直属の臣下も……
そして、私も裏切る可能性があると言えるんではないですか?」




