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敗北宣言
ノイル王子の方が一枚上手、そう言わざるを得なかった。
「そうか……まぁ、覚えておこう。
とはいえ、そんな情報活かす場面がないほうがいいのだけどね」
「ええ、ボクも心からそう思いますよ」
それは本音のように聞こえた。
……これ以上は不毛だ。
私がそう感じた通り、二人の会話にそれ以上の進展もなく、
当然、襲ってくるようなこともなかった。
何事も起こらず、王子同士の会談は終わり、その帰路も何事も起こらなかった。
私達はそのまま、クリシュナの執務室だという部屋に入った。
「……率直に君の意見を聞かせて欲しいな、クリス」
「私の意見を?」
「それくらいはいいだろう?君の目にどう映ったのかを知りたいんだ」
「ノイル王子に相当やりこまれたな、というのが正直な感想です」
すると、クリシュナは目を丸くし、やがてけらけらと笑い出した。
「ははは!確かにその通りだ!アイツはいつだって僕をやりこんでくる」
なんだろう?質問の意味が違ったのだろうか?




