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剣か盾か
「だからこそ、私が切り札だと?」
「そう。”敵”もまさか、君のような少女にそれだけの力があるとは思ってはいない。
表面上は、そんな素振りを見せず……逆にこちらが脅してると捉えられることもなく、
相手の無法をカウンターで潰すことの出来る。君はまさに切り札だ」
「……なるほど」
だけど……私は首を振った。
「私はあくまでも護衛という約束です。あなたの言うこと
あなたの命を脅かされるなら、それを防ぐ盾になるつもりです。
だけど、それ以上のことをするつもりはありません
襲われたからと言って、あなたの剣にはなるつもりはないです」
「そうか……いや、今はそれでいい。充分なんだ」
すると、クリシュナは立ち上がった。
「君が盾となってくれるだけでも、心強い。
それに、君の考えなんて、君が喋らなければ”敵”にはわからない」
クリシュナは何かを催すように手を差し出した。
話は打ち切り、部屋の外へ行くということかと、私も立ち上がった。
それに満足したクリシュナは私に背を向けて歩き出す――ところで、再び私に振り向いた。
「もちろん、剣になってくれると言うなら、いつでも大歓迎だ」




