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私という単位
「……」
「剣に自信があるとは言ったが、単純に剣の腕でも君に敵うとは思っていない。
剣の腕に覚えがあると言った僕を内心笑っていたんじゃないかな?」
「それは……」
否定出来ないけど……
「いや、そもそも、一個人という単位……前提そのものが間違っている」
「え?」
「君自身は一人だが、その武力は一師団、一兵団……一国の武力をも凌ぐんじゃないか?」
……
「そんな、買いかぶりすぎです」
「どうかな?君が本気になれば、こんな辺境の国一つ……簡単につぶせるんじゃないか?」
「……そんな馬鹿な」
「君に比べれば、僕らはアリだ。
いくら、アリが力をつけようと、人間にはかなわない。
その気になれば、蟻塚を破壊出来るように、
この『ギンギ』も、君が良心や理性を持っているから、何も起こっていないんじゃないかな?」
「はは、想像力が豊かですね。
…………それで、
仮にそうだとしたら、貴方はどうするつもりなんですか」
「言っただろ、僕は話しをする。
そして、君は切り札だと」




