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理想論はされど理想論
「なら、どうしてです?」
「はは、権力に興味がないと僕が言ったところで、僕の立場が変わる訳じゃない。
どうしても……この国がある以上、僕は王子なんだ。
なら、無抵抗でやられたくはない、戦う。
そして、こんな血なまぐさい仕組みを変えたいんだ」
「王となって……?」
「そうだ……青臭い理想だろうがね」
「……」
現実問題、本当に王となったところで、その仕組みを変えられるという保証はない。
――//――
というか変えられなかったんだ。
彼は生涯そのことに頭を悩ますことになる――//――
「……っ!?」
私は左手頭を抑えた。
「ん、どうしたんだい?」
「……あ、いえ……大丈夫です」
私はお茶を飲み、落ち着きを取り戻した。
また、なのか?
この感覚……どうして、そんなことがわかるというのか?
確かに難しいことかも知れないが、未来のことなんてわからない。
そう断言することなんて、誰にも出来ない。
なのに、何故、私は知っている――――――――――?




