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道と理
「貴方が信用に足るか、わからない」
「……!」
「考えてもみてください。
私と貴方が会って、どれだけの時が経ちましたか?
ましてや、貴方が王子だと知ったのはつい先程のことなんですよ」
「う、うむ……」
「命を狙われているから、助けてほしいというなら、まだいい。
だけど……あえて言いますが、為政者として、
貴方がふさわしいかも知らないのに、貴方のために手を汚すことなんて出来ません」
「…………ム?では、僕を守ること自体は引き受けてくれるのかい?」
「えっ……あ……」
しまった、今の言い方だとそういうことになってしまう。
だけど、確かに命の危険がある人間を見捨てるというのも、人の道に反している。
私はしぶしぶといった感情を隠しもせず、頷いた。
「ならば、僕の護衛として、いてはくれないだろうか。
その上で、僕が王を継ぐものとして、相応しいかを見極めてほしい」
そういう言い方で、そういう方法を取るのか。
「…………わかりました。ですが、私も旅の途中です。
長居は出来ませんよ?」




