彼なりの合理性
「反撃、ですか」
どうやって、その正体を暴くつもりなのだろうか。
「ああ……と、その前に砂漠で正体を明かせなかったのはそれが理由だ」
「……」
少し考えた。
そして、息を吹くように一呼吸笑った。
「つまり、私が信用出来なかったってことですね。
貴方の命を救った私を」
ああ、そうだ。
クリシュナは、私が彼を王子と知ることで、裏切られるかも知れないと考えたのだ。
「道理に合っていないのはわかる。
しかし、人を信じないのが僕の処世術だ。
そうでなければ、もっと前に命を落としていただろう」
「そうですか、まぁ、理解はしますよ」
私が彼を助けたというのはフィルターだ。
そのフィルターを通さずに、物事を見るならお互い初対面同士、そこに信用があるはずもない。
「勘違いしないでもらいたいのは、それはあの時点での話だ。
今はむしろ、信用に値すると考えてる」
「そうなんですか?
貴方が王子と知ったのはつい先程なんですが」
「はは、そうだね。
なら、こう言おうか、君を敵に回した時点で、どうしようもない。
だからこそ、全面的に信用するほかない。
それなら、いっそのこと、協力者になって欲しいと思っている」




