代金
「まぁ、いいさ、何か占ってほしいんだろ?」
「あ、はい」
「何を占ってほしいか、言いな」
そう言って老婆は、机と水晶玉を用意した。
「何でもいいですか?」
「ああ、なんだっていいよ。ただし、これはあくまで占いだからね」
「え、どういうことです?」
「当たるも八卦当たらぬも八卦、と言うだろう?
結果をいちいち保証してちゃあ、商売になんないんだよ」
「それは……はい、わかってます」
「ま、商売と言っても、ババアが趣味でやってる店だ。料金はこんだけ、今日の晩飯代さ」
そう言われて差し出された料金プレートには確かにその程度の金額が書かれていた。
「あ、出しますわ」
「お願いします」
お金の管理はシンシアさんが行っている。
シンシアさんは金額キッチリを出すと、老婆は受け取って、下に置いてあった集金箱に入れた。
「さあ、なにを占うんだい?」
「兄が行方不明なんです」
「ほう」
老婆は水晶玉の上に掌を掲げ、くるくる回しだした。
「私は八人きょうだいでして、一番上の兄の行方を追ってるんです」
「そのお兄さんがどこにいるか知りたい、って?」
「はい」
「…………ふむ。
そうは言うが、アンタ、他のきょうだい達もどこにいるか殆ど知らないんじゃないかい?」
「!?」




