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出会い
「うーん、いい朝だ!」
昨晩は街の安宿に泊まった。
今の手持ちなら、あと三泊は出来る。
ただ、食事は出ないので、自分で用意しないといけない。
「最初考えてたみたいに、森で調達しようかな……」
あまり、宿泊代以外でお金は使いたくない。
午前の内に数日分の食糧を確保しておけば、午後からは他のことに時間を割ける。
「……うん、そうしよう!」
……
「木の実はこれだけあれば充分かな」
採りたての木の実を朝食代わりに齧る。
「あとはお肉かお魚かな……」
そのどちらかを数日分確保出来れば充分だろう。
干し肉、干し魚に加工すれば保存食にもなるし一石二鳥だ。
「となると、水辺があると一番いいんだけど……」
森の奥を進んでいく。
野生動物は、余り人間の舗装した道路には現れないイメージだ。
森の中を歩いていれば、そういう獣に出くわしそうだ。
――と。
「あ」
近くで気配がした。
狙い通りだ。
私は息を潜め、気配の方へと跳んだ。
「そこだ!……え!?」
だが、そこにいたのは野生動物ではなく、人……しかも少し年下に見える少女だった。
しかも、横になって苦しそうにもがいていた。