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最初からそうしろよ
「……よくある話だろう?」
クリシュナは自嘲気味に笑う。
「もしかして、私達が会ったあの時は?」
「ああ、全くもってその通りだ……あの時は窮地だったよ。
まさか、護衛も使用人も皆……殺されてしまうなんてね」
「っ……」
まさか、私と会う前にそんなことになっていたなんて……
「運がよかったんだよ、それと配下の者たちの献身だ。
アレは明らかにプロの暗殺者集団だった」
「……」
なんとなく、どんなことがあったのか想像はつく。
しかし、これでは部分的にしかわからない。
「あの……いちから説明してもらえますか?」
「ン……そうだね」
クリシュナはいつの間にか食べ終わって骨だけになった元チキンだったものを、皿に置き、
注がれていた水をぐっと飲みほすと、語り出した。
「そもそも、僕は『マウロ』という街の視察で出ていたんだ。
当然、お付きの者と護衛を連れてね」
『マウロ』……地図を思い浮かべてみると、
確かにクリシュナと出会ったのは、そこと『パラダイム』の中間地点辺りだ。




