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おもてなし
しばらくすると、使用人の重鎮らしき老人が小走りに出てきた。
そして、クリシュナの顔を見ると、すぐさま門は開き、大きな庭園……
と言っても砂漠の国のそれは私の知る者と大きく違ったが、そこを通り、
宮殿の中へと連れていかれた。
そこで何故か私とクリシュナは別れ、
私は女中に連れられて、大きな浴槽で風呂に入って、汗と砂を落とした。
そして、先程とは違う別の女中に服を当てがわれて、この国のドレスらしき服で、
再びクリシュナと用意されたご馳走の前で再会した。
「やあ、湯加減はどうだったかな?」
湯加減と言っても、暑い砂漠の国だ。
魔法で調整された湯は比較的温度は温めに設定されている。
それなら、いっそ水でいい、自分の魔法を使おうかと思ったけど、
常に湯加減を調整してくれていた使用人達を見ると、そんなことは言えなかった。
「……ええ、よかったですよ」
そう言い、自然な動作で胸元を軽く引っ張った。
暑い国だからか、ドレスは薄手で、合間を見て蝶を隠れさせるにも、その位置しかなかった。




