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結局はそうするしか
「それはそうですけど……」
確かに彼が襲ってきたところで、私はなんとでも対処出来る。
ただ、それはそれとして、彼が私を見誤っていたら……?
もちろん、彼自身にどうこうは出来ないけど、
推論……彼の身なりからして、所謂いいところのお坊ちゃんだ。
なら、家に私兵がいる可能性などはいくらでもある。
勿論、余程の相手でなければ、私が遅れをとることはないが、
それを彼は理解していない……見誤っていたとしたら、そういうこともあるのではないだろうか?
「いや……流石に恩人を取って食おうってことはないさ。
そこは信じてほしい」
「はぁ……」
まぁ、その時はその時とも考えられる。
警戒は怠らず、そんなことが起こったら、容赦なく返り討ちにすればいい。
今は話を変にこじらせないほうがいいだろう。
「わかりましたよ、ついていけばいいんですか?」
「ああ、そうだ。”足”を用意しないとね」
するとクリシュナは近くにいた行商人らしき男に話しかけた。
行商人は見たこともない動物……確か、ラクダだったろうか?
それを繋いでいる。




