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ウチに来ないか?
時々方角を確かめながら、歩を進めた。
地図と時々ある立て看板の通り進んで大丈夫なのか、不安はあったけど、
そこは現地民であるクリシュナがいたので安心だった。
元々、そこまで遠かったわけじゃなかった。
私達はその日の内に『パラダイム』に到着した。
「本当に規格外だね、君は」
クリシュナは入国する前に、そのままだとかわいそうなので、降ろしている。
「そんな世辞はいいですから、話してください、名前のことを」
「ふむ……」
クリシュナはすぐに答えようとせず、考える仕草をした。
そして、自分で納得したらしく、頷いた。
「わかった。しかし、砂漠を抜けて疲れただろう?
僕の家でゆっくり話そうじゃないか」
「なんですか、それ。まるで、私を連れ込もうとしているように聞こえますけど」
「ははは、流石に懲りたよ……君を口説くつもりはない。
理由を説明するのに、実際見てもらったほうが理解しやすいと思ったんだ。
他意はないよ」
「…………」
そうは言うけど、私と彼の間にどれ程の信頼性があるというのか。
「仮に僕が悪さをしようとしても、君なら力で切り抜けられるだろう?」




