各駅停車では遅すぎる
「別にいいですよ、そのまま休んでくれて」
「うん?……どういう意味だい?」
「私が運びます」
私はすっと、クリシュナを両肩に担ぎ上げた。
「うわっ!!?…………と、と、えっ!?」
クリシュナは戸惑っていたが、私は構わず歩き出した。
「ちょっと、待ってくれないか!?」
「時間が勿体無いです」
結局のところ、そういうことなのだ。
仮にクリシュナの回復を待って、連れ立って歩いたところで、
砂漠の民の割に体力のなさそうな、この男はすぐ息切れするだろう。
そうでなくとも、私のペースに常人はついてはこれない。
なら、一番単純明快な方法として、私が運搬するという方法がある。
だから、その単純明快な方法を選んだまでだ。
「い、色々と凄いな君……いや、それでも、これじゃあ、僕が無様すぎないか!?」
「そんなの我慢してくださいよ。楽に移動出来るんだから」
「い、いや、この体勢も言うほど楽では……」
「……ああ、直射日光が当たるのか……じゃあ、こうしましょう『ウインド・ドーム』」
風でクリシュナの外套を巻きあげた、影を作ると同時に空気を循環させ、熱気を逃がした。
「……本当に凄いな、君は」




