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そもそも得体が知れない
「そうなんか?それやったら、なんでこんなモン、服につけたりしとんのや?
おいそれとゴロ寝も出来へんやん」
「いや……まぁ、そうだね」
ゴロ寝は置いておくとしても、到底一般人の服装ではない。
正直、まっとうに働いているような男にも見えない。
貴族か富豪の道楽息子、といった印象を受けた。
……と、いうか、それなら、なんでこんな砂漠の真ん中で一人行き倒れていたのか。
お供や護衛もないし、外套を羽織ってはいるものの、
中の服は砂漠越えをしようという人間には到底思えない。
その辺りが、私についてきてほしい理由なのだろうか。
「……しばらく、静かにしていて」
「あ、はい」
宝石をポケットにでも仕舞おうとして、思い留まった。
仮に予想通り貴族や富豪の息子だというのなら構わないが、
もう一つ、想像出来る可能性がある。
マフィアなどの非合法組織……あるいはその関係者だ。
場合によっては、この宝石も突き返す必要もある。
そう感じて、宝石は右手に握りこんだ。
果たして、彼が何者なのか、確かめてみる必要がある。




