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おかわり
「なんですか?もう、大丈夫でしょう?」
なんだろう?
何故か私は男に嫌悪感を抱いていた。
軽薄な感じが癇に障ったのだろうか。
「待ってもらえないだろうか。
助けてもらったことは、ありがたい。
だけど、まだ……もう少し助けてほしいんだ」
「……うーん」
内容によるけど、助けてほしいというのも、わからないでもない。
危機を脱したとは言え、先程まで倒れていた人間を砂漠に放置するというのも、よく考えると薄情だった。
私は、嫌悪感を優先してしまっていた。
「もちろん、礼はしよう。
えっと……」
男は何かに気付くと自らの衣服の装飾である石を引きちぎった。
「まずは、今助けてもっらった礼だ。
これは本物の宝石なんだ」
「……」
シンシアさんなら、換金出来ると喜ぶかも知れないけど……正直、私自身には必要なものではない。
「それと、これから助けてもらう分だ」
男はさらにもう一つ宝石を引きちぎって差し出した。
「……助けてほしいって、具体的には何を?」
「!『パラダイム』まで、同行してもらえないだろうか」




