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占いの館(胡散臭い)
『リンドロンド』という街のことを考えると占いをしてくれる店というのは余りないほうだ。
それでも、探せばどこかにはあるもので、街の外れに占い師が店を持っていることがわかった。
そして、そのお店というのが――
「怪しい……」
黒いテントで覆われたテントに、白い板にペンキで書きなぐったような『占いの館』という看板。
看板の下には角の生えた鹿の頭蓋骨が吊るされ、
何故か操り人形が入口の横に立てかけられていた。
そして、店の周囲を取り囲むような、用途不明のがらくた達――
店主の普通の店ではないという意思をこれでもかと主張していた。
「ま、まぁ、汚い店のラーメンの方が美味しいといいますし」
ラーメン……?
「胡散臭いほうがかえって、本物っぽいってことですか?」
「そういうことですわ」
「……せっかく来たのですから、入るだけ入りませんか?」
「そう……だね」
覚悟を決めて、中に入ると、古い魔法使いのような黒いローブと魔女帽を被った老婆が、座っていた。
「胡散臭くて、悪かったね」
じ、地獄耳……




