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甘い考え
「つまり、その負けたくない相手に負けたから落ち込んどるんやな」
「うっ……ズバッと言うね、あなた」
「でも、そういうこと、なんやろ?」
「そうだけど……」
「それやったら、まー、そんなすぐに切り替えられへんと思うけど、
クヨクヨしても、しゃーないやん。
次は勝つために、頑張るしかないんとちゃうか」
「……」
結局はその通りだ。
蝶にもわかるような、シンプルな結論。
ただ、蝶も言ったように、そんなすぐ切り替えられるものでもない。
私は引きずってしまっている。
「夜になったら、お酒でもかっくらったら、ええんとちゃうか?
シンシアはんみたいに」
「あなた、いないと思って……
それに、お酒なんて持ってないよ」
「お店くらいあるやろ?」
「どこに?」
「え、今日中につかへんの?」
「つかないよ」
丸二日程、歩き続けるつもりだ。
私の体力なら、休息なしで三日は行ける。
他に連れはいないのだし、蝶は外套の中で休んでいればいいと思ったけど……
「ええっ!!ずっとこのままなん!?」
どうやら、不満らしい。




