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万が一の保険
「ま、それはともかくとして、蝶が傍に居る限りは、馬車側の状況がわかることになりますね。
と言っても、そちらから私への一方通行ですが……」
顔を見合わす。
問題点があるとすればそこになるだろう。
蝶とセレナの意識を共有しているといっても、蝶がいないとセレナが意思疎通の手段がない以上、
どうしてもそうなってしまう。
「それでいいと思いますわ。
トラブルがあったとしてもクリシュ……ナさんなら自力でどうにか出来るという信頼があります。
万が一があるとしたら、こちらです。
その時、すぐに駆け付けることが出来なくともクリシュナさんに情報が伝わるのなら、
最悪は避けれると思いますわ」
「…………
そう、ですね」
私は自分に言い聞かすように頷くと、ちーちゃんの方を向いた。
「選択の余地はないと思います。
ちーちゃんも馬車にいてください」
「……そうだろうね。
自分で決めつけるのはよくないと思って、決まってない風に言ったけど、そんな気がしてた」




