主役おいてけぼり、なお……
「そうですか……では、醤油の生産というのはどうでしょうか?」
「ん?わざわざ、完成品のソースの成分を組み換えて売るの?
それが許されるのかどうかは置いておくにしても、それもコストが高くなると思うけど……」
「いえ、その場合は大豆からですわ。チヒロさんの知識なら……出来ますよね?」
「まぁ……不可能ではない、かな。クリスちゃんの協力前提だけど」
「移動の時間で熟成させることは出来ないのですか?」
「いや……時短どうこうを考えなくとも、製造所じゃなく、設備もないんだから、
魔法でどうこうしないといけない手順はあるよ」
「そうですか。出来れば、クリシュナさんのお手を煩わせたくないのですが……
協力いただけますか、クリシュナさん?」
「…………ぶつぶつ」
「クリスちゃん?」
「……そうか、これは麺を通してスープを味わうという考え方が正しいのか。
故にこのシンプルさ……いや、もっと違うアプローチのスープでも合うのかな?
麺はどうだろう?このちぢれ麺で完成されていると考えることは出来るけど、
スープに絡ませるという意味では、実はストレート麺の方が向いている。
だけど、絡んでいる”感”という意味ではちぢれ麺で、決して間違いとは言えない。
スープ単独でも麺単独でも完成しえない、これは。
至高だ。でも、それで満足してしまっては先がない訳だし……」
「……あっ」
「そういえば、カレーの時のこんな感じになってたね……」




