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キミの頭の中はいつもそれなのか?
「クリスちゃんは成分を分子単位で分解、結合出来るからね。
要は醤油と同じ成分にすればいいだけだよ」
「か、簡単に言いますわね。科学的なことをいうなら、そうなのかも知れませんが……」
シンシアさんはちらりと丼鉢を見た。
「……それはそうと、替え玉って、いただけます?」
「うん、用意するね。クリスちゃんも食べる?」
「あ、お願いします」
ちーちゃんは手際よく、私の前に新しい丼鉢と、シンシアさんの前に新しい麺を出した。
私はすぐに食べ始めた。
「…………」
初めて食べる料理のはずなのに、どこか懐かしさを感じた。
一方、シンシアさんは出された麺をじっと見つめていた。
「どうしたの?」
「あ、いえ……せっかくなら、商売に出来ないかと思って……」
「カレーの時もそんなこと言ってたね」
「チヒロさんの意見としては、どうなのですか?これで商売出来ると思いますか?」
「……いや、ワタシは料理は作れても商売はやってこなかったからね。
常にその時のベストを求めたしまうから、コストがかかり過ぎると思うよ。
一杯いくらで売るつもりか知らないけど、これで採算を取れるようには出来ないかな」




