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0から1を作るより、1を増やす方が容易い
「ああ、作ったんだよ。クリスちゃんに魔法で協力して貰ってね」
「醤油を……?ですが、いくら魔法で時短出来たとしても、大豆から作ろうとしたら、
すぐに出来るとは思えませんが……いつから、用意されたんですか?」
「いや、違うよ。イチからと言っても材料を作るところからは無理だよ。
数時間前から始めたんだ、大豆からなんて無理だよ」
「??……なら、どうしたんですの?」
「シンシアちゃん、自分で言ったじゃない。
醤油風味のソースがあるって」
「え、ええ……ですが、あれをそのまま使っても……
まさか、複雑な調理をすれば、醤油に出来るんですの?」
「はは、流石にそれは手間だし、難しいよ。……」
ちーちゃんはぼそりと、私の耳でなければ、聞こえない声でささやいた。
”ワタシじゃなければ”、と……
「まぁ、そんな方法を使わなくとも、クリスちゃんの魔法でどうにか出来るでしょ?」
「え……あ!まさか、魔法でソースの成分を組み替えて、醤油にしたのですかっ!?」




