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見た目はお嬢様、頭脳は……
「…………」
シンシアさんは、震え続けている…………大丈夫だろうか?
「あ、気にしないで、食べてくれていいんだけど……伸びるよ、麺」
「!」
すると、シンシアさんは、一緒に置かれていたお箸を掴んだかと思うと一心不乱に食べ始めた。
「ん……お箸?」
そんなもの、持っていなかったと思うけど……
「木を削って作ったんだよ」
「え、あ、そうですか……」
「でも、クリスちゃんって、お箸知ってたんだ」
「え、ええ、まぁ……」
私達が話している間にも、シンシアさんはガツガツと食べ進める……
旅の中で逞しくなっていったとは言え、
未だに深窓の令嬢と言った印象だったシンシアさんの姿はそこにはない。
……まぁ、麦酒をがぶ飲みしていた時から考えると今さらかも知れない。
そう考えるとシンシアさんってガワは深窓の令嬢でも、
中身は結構オヤ……いや、やめておこう。
「クリスちゃんも食べるでしょ?用意するね」
「あ、はい、ありがとうございます」
ちーちゃんは相変わらず、手際いい所作で私の前にラーメンを差し出した。
「……おかしいですわ」




