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あっさり
「心配かけて、ごめん。それに迷惑も……」
シンシアさんはふっと息を吐き出したかと思うと首を横に振った。
「そんな顔で言われたら、どうしようもありませんわ」
「え?」
「正直に言えば、文句の一つもぶつけないと、気が済まないと思ってましたわ。
でも、完全に毒気を抜かれたとでもいいましょうか……その捨てられた子犬みたいな表情に」
「!?」
とたんにちーちゃんの顔は真っ赤になった。
「でも、なんですの?別に素直に謝りにくれば、多少のことはあっても許しましたのに……
なんでわざわざ、こんな回りくどいことを……」
「あ、いや……謝りたかったのも、そうなんだけど、
せっかくだから、シンシアちゃん達にお詫びを兼ねて手料理を振る舞いたかったんだ」
「手料理?わざわざ、こんな場を用意しなくとも、キャンプの時に当番でしてるではないですか」
「それはそうなんだけど、ほら、普段食べられないものとか、さ」
「ああ、カレーですか?でも、そんな香りはしませんわね」
「違うよ、今回用意したのは――」




