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サプライズというには不穏な
……
その夜。
陽が落ちる前にシンシアさんは帰って来たけど、
その時点でちーちゃんはおらず、
準備にかかる時間の関係で、
出来るだけ遅い時間に晩御飯を取ることにした。
私達は結託し、気になるお店を見つけたということで、
夜になってシンシアさんを連れ出した。
夜道を歩いて街の校外へ……
「あの、こんなところに本当にお店がありますの?」
「えっと……もうすぐ着きますよ」
そう言うが、もちろんそんなところに店舗などない。
最低限、雨風を防げるテントを張った場所に、彼女は待っていた。
「ここ、です……」
「?……お店って、屋台ですか?」
テントが影になっていて、シンシアさんはすぐにちーちゃんに気付かない。
テントの中に入る。
「でも、看板も何……も……」
近寄ったことで、シンシアさんは、まず珍しい服装に気付いた。
そして、スライドするように、恐る恐るといった感じで顔を確認した。
「シンシアちゃん……」
「あ……えっ?」
シンシアさんはすぐには理解が追いつかないようだった。
そして、絞り出すように言葉を紡いだ。
「無事、でしたのね……安心、しましたわ、チヒロさん」




