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違和感のある単語
「ちーちゃん、なんですね!」
「えと……自分がしでかしたことは覚えてる……です。
その、迷惑をかけたと……」
「正気に戻ったんですね!」
「う……あ……はい」
――――――――――
宿の玄関先で立ち話というのも、どうかと思うので、とりあえず部屋にあがった。
備付けの椅子に座ったちーちゃんはもじもじしていた。
言葉の通り、自分がしたことを覚えているのなら、バツが悪いのだろう。
「私は、ちーちゃんに対して、怒りだとかそういう感情はありません」
「え……」
「むしろ、今思えば、不用意だった。
ちーちゃんは暴走していて、その最中気を失ったんだから、注意してみておくべきだったんです」
「クリスちゃん……」
「何かあった時、その時、ちーちゃんを抑えられるのは私だけだったんだから、ずっとちーちゃんについているべきだったんです、私は……!」
「そう……でも、元を辿れば、ワタシが暴走しなければ――――暴走?」
確かにおかしな会話だ。
アレは暴走だったという見解の元で、お互いにそれを認めて話を進めてしまっている。




