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いつかは当たりを引ける
「ああ、その特徴なら、ウチにいるお客さんだと思いますよ」
「!」
一軒ずつ宿に確認を取り、いないことがわかると、近隣の他の宿を聞き次の宿へ……
そんな風に数珠繋ぎで宿を当たって17軒、ついにチヒロは”当たり”を引いた。
「へ、部屋に居ますかっ!?」
「えーと……今は不在だったかと」
「そう……ですか」
チヒロは仲間であることを明かして、部屋に上がり、帰って来るのを待つことも脳裏に浮かんだ。
しかし、チヒロがそうであることを、他者に証明する方法はないし、
泥棒かも知れないと考えられたら、まず、部屋に入ることは出来ないだろう。
もっとも、不在と言えど、身動きが取れないセレナはいるだろうが……
「なら、帰ってくるまでここで待たせてもらっていいですか?」
「それは構いませんが……そちらは?」
「え?」
従業員が出入り口を手で示したので、チヒロは振り返った。
そこには、驚いた表情のクリスがいた。
「ちーちゃん?」
「あ……えっと……ただいま……って言ってもいいかな?」




