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神の視点 3
さて、ならば、今の現状を顧みた場合、ワタシはチヒロを誘導すべきだろうか?
答えは限りなくNOに近い。
まず、神の介入は限定的でなければならない。
昏睡した際のように”詰み”の状態にあったチヒロならいざ知らず、
チヒロは自らの意思で動き、状況を自力で打破できる可能性を秘めている。
加えて、神の介入を守護者に知られてはならない。
守護者とは神の代行者でなければならないが、だからと言って操り人形ではないのだ。
チヒロは自らの意思で行動を選ばなければならない。
あくまで、神は調整者でありながら、観測者でなければならない。
神が積極的に介入した世界など、”調和と言う名の混沌”などという矛盾した事象が起ってしまう。
とは言え、”限りなくNOに近い”という表現をしたように、介入しない理由がない訳ではない。
チヒロは未だ不完全だ。
チヒロはその全ての記憶を思い出した訳ではない。
当時の剣が太刀であったのに、今は大剣になっているように、チヒロの過去には続きがある。
逆に言えば、最後の記憶まで思い出さない限り、
チヒロは不完全で不安定……手助けと言う名の介入もあり得るのだ。




