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思い立ったが、吉日か
チヒロは何度も大きくため息を吐いた。
「……そもそも、ワタシに戻る資格なんてあるの?」
やらかしたこと、それもそうだが……
「必要なの……?ワタシは……ワタシも……」
今のチヒロならば、一人で生きていくことも可能だろう。
そして、チヒロがいなくとも、クリス達の旅が滞る直接的な原因はできない。
そう、チヒロが必ずしもクリス達のパーティにいる必要はないのだ。
チヒロにとっても、クリス達にとっても……
ならば、何故チヒロはクリス達の元に戻りたいと思ったのか?
「……居心地がよかったから?……自然とそう思ってた?」
だとするなら……
「理由には充分、か……」
チヒロは気合いを入れるように両手で自らの両頬を叩いた。
「……よし!いっそ、開き直ろう。素直に謝ればきっと許してくれる!」
勢いよくチヒロは立ち上がった。
こういう時は気持ちを切らしてはいけない。
最初の心持ちのまま突っ走ったほうがいいと、チヒロは知っていた。
チヒロは、そのまま全力疾走で街に向かった。




