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戻ってきた彼女
「……………………………………」
どれだけの時間が経っただろうか?
チヒロの居た空間は次元の狭間――そこに時間という感覚はあってないようなものだ。
永遠に思えても一瞬、一瞬のようで永遠――
チヒロにとっては永遠に思えるような時間を掛けて統合されたが、
全てが終わり、チヒロが”元”の場所に戻ったのはチヒロが失踪した日から3日後のことだった。
街外れの森林で、意識を取り戻したチヒロは手頃な切り株を見つけたチヒロは、腰を下ろし、頭を抱えた。
「……はぁ」
統合されたチヒロだったが、元のベースの性格はチヒロである以上、
彼女自身の枠組みから外れることはない。
このモンスターがいなくなった世界で、非情な勇者である必要性は今のところない。
それが、チヒロが至った、勇者としての結論だ。
要はチヒロはチヒロとして生きていくことを選んだ。
元の場所……クリス達の元に戻ることを選んだのだ。
そして、その中で目下の大問題がある。
「どの面下げて戻ればいいのよ……!」




