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勇者の定義 29
全てに絶望したように、マオは声もあげずに静かに泣きだした。
「……」
チヒロはマオの舌から手を離し、太刀を逆手に構えた。
「苦しいでしょ?その苦しみから解き放ってあげる。
だから、抵抗はするんじゃない」
「…………ドウ、シテ……」
「ん?」
「コロされ、なきゃいけなかったの……?」
「そんなの、アンタが世界の仇敵だからに決まってる」
そうして、チヒロはマオを貫いた。
チヒロのせめての手向けとして、魔王?ごと、同時に貫いかれていた。
「……ナニが……駄目だったの……オ父さん……」
それに答えられる者はここにいない。
だが、チヒロは口を答えた。
「……アンタが魔王の娘として生まれたこと…………アンタにとっても、魔王にとってもね」
マオはただ、虚空を見つめていた。
チヒロの言葉がマオに届いていたかはわからない。
ただ、マオは最後に声を絞り出した。
「…………ゴメンね、オ父さん……」
その言葉の真意をチヒロが知ることはない。
もちろん、マオ以外の他の誰にも……




