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勇者の定義 28
「な、ナニを……あっ!?」
たじろぐマオに叩きつけるように、一本背負いで魔王?を投げた。
「……演算終了。
抵抗は無意味だ。アンタの全てを見極めた――」
「ナ――あぐぅっ!!」
倒れたまま、反撃を試みようとしたマオの行動を潰すように、その掌に突き立てた。
「……理解したよ、アンタの不可思議な強化……それにこの魔王モドキ。
全ては魔王が自分の死後に発動する、アンタの逃亡を出助けするための仕掛けだったんだ」
「……!」
「確かに、この場を逃げるだけなら、有用だった。
ましてや、当初の計画では魔王一人が無抵抗に犠牲になることでより確実にアンタを逃がすつもりだった。
それを全て、台無しに……無駄死ににさせたのはアンタ自身だ」
「っ……ふぁむっ!?」
チヒロは反論も反撃も許さない。
何かを唱えようと、あるいは話そうとしたマオの舌を掴んだ。
「そう、アンタのせいで父親は無駄死にしたんだ」
「っ……っ……」
その時、ついにマオの心は折れた。




