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勇者の定義 27
「ダマれと言って――」
「黙る訳ないでしょ」
マオはその一瞬、気圧され言葉に詰まった。
「黙らせたかったら、アンタには簡単な方法があるじゃない」
「……!」
「そう、ワタシの口を塞ぐと同時に、否定する方法が、ね」
「ク…………う、ウァァぁあぁぁああああああぁあぁぁあああぁぁぁああああッ!!」
マオはチヒロの額に突きつけるように人差し指を出す。
チヒロは目を反らさずにじっと見つめていた。
「『フェイマグ・リリーー……――――――』」
マオの指は震え続けていた。
しかし、ついに、今か今かと解放されるのを待っていたソレは解放されることなく、
だらんとマオは腕を下した。
「……はぁぁぁぁ」
チヒロは大きくため息を吐いた。
落胆以外の何者でもなかった。
「ここが限界だ。アンタはアンタのつまらない感傷のせいで、
自分は愚か、今後ワタシの手にかかるであろう仲間・同胞の運命を終わらせ、
アンタに未来を託したであろう、本当の父親の想いさえ裏切ったんだ」




