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勇者の定義 24
「…………」
チヒロは息を飲む……まさか、自分が罠にかかったのか、と。だが――
「コノ展開は予想してなかった……ソンナ顔だね」
「…………」
「アナタを倒せるだけの攻撃は繰り出せない……デモ、アナタ自身は?」
「…………」
「ソウ、そんな技を出してくるのを、待っていた。
シンゾウを潰されても平気だとしても、跡形もなく消し飛んだら?」
「…………」
「キュウシュウしたエネルギーをアナタに向けて、放てばそうなるはず」
「…………」
「ワカッタ?ジブンが一番、ずる賢いなんてのは、最も傲慢で、最も愚かだよ」
「…………」
「……ナニカ言ったら、ドウなの?」
チヒロはすぐに反応出来なかった。
マオの話をほとんど聞いていなかったのだ。
「御託は終わり?」
「……!」
マオは憎らしげに顔を歪ます。
「そんな話聞いたところで仕方ないでしょ?
アンタはワタシを殺すんだろうし、何かを反省したり、学ぶ意味なんてない」
「あ、アナタは……!」
「憤りでも、憎しみでも、ぶつけたいなら勝手にすればいい。聞くつもりはないけど」




